労災は、仕事中のケガをいうのですが、そもそも仕事とは何を言うのでしょうか。労災でいう仕事、哲学的な意味での仕事、人生の上での仕事など、様々な意味があるでしょうが、今回は、会社で従業員がやるべき仕事、を考えてみたいと思います。
この意味での仕事というのも、これもまた種々あるのですが、ざっくりいえば、業務命令にもとづく行為、ということができます。
たとえば、うちの従業員は休日でも自主的に会社にきて仕事をしている、すごい!
という社長がいらっしゃいます。しかし、これが正真正銘、従業員の自発的意思によるものだとすれば、いわゆるボランティアともいうべきもので、仕事とはいえません(給料が発生しない!)。
もっとも、実際には、仕事をするように、という業務命令があったから出勤した、つまり仕事である、と解釈されることがほとんどだと思います。仕事しろと言ってはいないかもしれませんが、業務命令は黙示でも認められてしまうからです。
では業務命令とは何か?
業務命令とは、業務遂行のため、使用者が従業員にする指示・命令をいいます。
業務命令により行う従業員の行為、これを仕事と言って差し支えないと思います。
いちいち指示・命令しない仕事とはいえないのか? というとそうでもありません。
上で書いたように、黙示でもよいからというのが理由の一つでもあります。
つまり、状況にもよるのですが、仕事には、いちいち具体的な指示は不要ということができます。しかし、これは法律上のことで、現実とは多少違ってきます。
新入社員についてのアンケート回答なのですが、仕事上での抵抗感ナンバーワンは、「指示が曖昧なまま作業を進めること」とのことです(出典:2023年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)。いちいち具体的な指示をしてくれよ、ということですね。なお、理想的な上司・先輩は、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」だそうです(出典:同上)。仕事は見て覚えろ、わかりきったことをきくな、ではもうダメでしょう。
自発的に仕事をする従業員が欲しい、という会社は多いと思います。ほとんどの会社がそうかもしれません。ですが、そのためにはまず、会社の方から、具体的かつ明確な指示をだして、そこから流れを覚えさせるなどする。その後で、次第に自発的に考えていくようにしていく・・・というように段階を踏ませていくことが大事だと思います。
本日もお読みいただきありがとうございます。
最近の動き
●iDeCo掛金の上限引上げへ(12/13)
政府・与党は、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金の上限を引き上げる。企業型確定拠出年金(DC)に加入している会社員の場合、DCと合わせた掛金の上限は月5万5,000円から月6万2,000円に、企業年金がない会社員の場合は、月2万3,000円から6万2,000円になる。また、月2万円としていたiDeCo自体の掛金上限は取り払う。12日の与党税制調査会の会合で大筋が了承され、来年度の税制改正に盛り込む方針。
●2023年度の石綿労災認定 事業所数が最多に(12/12)
厚生労働省は11日、アスベスト(石綿)を原因とする疾患で労災認定された人や石綿救済法に基づく特別遺族給付金の対象となった人が働いていた全国1,233事業所の所在地等をホームページで公表した。労災認定は1,232件、特別遺族給付金の支給決定は159件で、年度ごとの集計を開始した2008年度以降、最多となった。
●「103万円の壁」 178万円に引上げか(12/12)
自民、公明、国民民主の3党は11日、「年収103万円の壁」対策として2025年度から所得税の非課税枠を引き上げることで合意した。引上げ幅は「178万円をめざす」として、協議を継続する。
●下請法「適用逃れ」防止へ新基準 政府骨子案(12/12)
下請法改正に向けた政府の骨子案が明らかになった。(1)「下請法逃れ」対策として従業員数の基準を追加、(2)下請企業と協議せずに価格取引を一方的に決めることを禁止する規定の新設、(3)荷主と運送事業者の取引に同法を適用できるようにすること、(4)法律名称の変更、などが検討されている。公正取引委員会と経済産業省の有識者会議は年内にも報告書をまとめ、来年の通常国会への法案提出を目指す。
●働く高齢者の控除に280万円の上限設定へ(12/12)
政府・与党は、働く高齢者が給与所得控除と公的年金等控除の2つが収入から差し引かれ現役世代に比べ税負担が軽くなっていることから、控除額に280万円の上限を設ける調整に入った。在職老齢年金の収入基準引上げとのバランスをみながら、2026年度の税制改正での実現を目指すとしている。
●基本給 1992年以来の高い伸び率(12/7)
厚生労働省が6日に発表した10月の毎月勤労統計(速報値)によると、基本給などの所定内給与が26万5,537円(前年同月比2.7%増)で、1992年11月以来32年ぶりの高い伸びとなった。10月からの最低賃金引上げの効果が出た。一方、実質賃金は横ばい(前年同月比0.0%)となった。
●遺族厚生年金の有期給付化で段階的拡大案(12/7)
厚生労働省は、遺族厚生年金について、年齢要件に係る男女差を解消し、夫も妻も20代から50代で子がいない場合、5年間の有期給付とする方向で検討している。女性の対象年齢は現行の30歳未満から40歳未満に変更し、20年かけて60歳未満まで引き上げる。夫も妻も60歳以降の無期給付、受給中の遺族厚生年金、現役世代で子供がいる場合については現行どおりとする。
ハピネス縄谷社会保険労務士法人は中小企業の応援団です。助成金・労働保険・社会保険・年金のことならお任せください。
ハピネス縄谷社会保険労務士法人 〒299-0245 千葉県袖ケ浦市蔵波台5-2-7 電話:0438(63)4633 FAX:0438(63)4694 |
---|